「うだつの町並み」として知られる徳島県美馬市脇町南町通り。阿波藍の集散地として栄えた商家町で、400m程の通りの両側にはうだつのあがる古い建物が並んでいます。この町並みの見どころをまとめてみました。
こういった町並みのある通りは、場所によっては生活道路となっていて、地元の方の車がビュンビュン通って落ち着いて見られない所があったりしますが、ここはそういったことがなく、多少は車が通りますがのんびりと散策することができます。
車は道の駅「藍ランドうだつ」に停めることができますが、訪れたときは結構混雑していて、大型車の駐車スペースまで普通車が停まっていました。
見所
うだつ
「うだつ(卯建)」とは、町家の隣家と接する1階と2階の屋根の間の壁に張り出した袖壁の事で、防火の役目をするもの。江戸・明治時代、裕福な商家がこの「うだつ」をあげた家を建てていた。「うだつがあがらない」の語源でもある。
「うだつの町並み」というだけあって、このうだつがうじゃうじゃとあがっています。金持ちの象徴でもあるので、それぞれの見栄の張り合いを想像して見てみるのも面白いです。ただ、ここはあまり個性的な「うだつ」はなく、おとなしい印象です。
虫籠窓(むしこまど)・格子造り
写真の二階に見られる、虫カゴの形に似ている事から呼ばれるようになった窓と、一階部分の細い角木を縦横に間を透かして組み合わせて、窓に取り付けた建具。
吉田家住宅(藍商佐直)
脇町で1,2を争った藍商の豪商の住宅。
位の高い人物を迎えるための御成玄関もあり、そういった人物が訪れる格式の家だったことが窺えます。入り口付近では藍染製品も販売しています。
当時の雰囲気を伝える人形たち。
商売の様子を覗く子どもが可愛らしい。
欄間
建物自体はそんなに華美な印象はないですが、欄間はバリエーションがあって見応えがあります。
豪快なものから簡素なものまで色々あります。
将棋
2005年にここで行われた第46期王位戦第5局 羽生善治王位vs佐藤康光棋聖の対局時の117手の様子が再現されています。結果は133手で佐藤棋聖が勝利したそうです。座布団や肘掛け脇息に藍染の布地を使っている所にこだわりが感じられます。
蔵
当然、蔵も広いわけですが、こちらでは様々な資料などが展示されています。写真は山岡鉄舟が将棋の師匠、脇町出身の第12世将棋名人、小野五平に送った屏風と、美馬市出身の日本画家、藤島博文の作品。
吉田家住宅(藍商佐直)
入場料:大人510円、小人250円
開館時間:9時~17時
休館日:年末年始
脇町劇場(オデオン座)
1934年に建てられた劇場。戦後は映画館として利用されていたそうです。山田洋次監督の映画「虹をつかむ男」の舞台にもなりました。この映画によって文化的価値が見直され、取り壊しを免れたそうです。
劇場内はなかなか素敵な雰囲気です。舞台や花道、うずら座敷、大向(おおむこう)から奈落までかなり自由に見て回ることができます。「虹をつかむ男」の制作過程の展示もありました。
場内には今後行われるコンサートや演芸のポスターなどが貼ってあり、現役感が漂います。一度くらいはこういう雰囲気の劇場で、観劇をしてみたいものです。
うだちの街並みが終わったその先にこの劇場があり、気づかずそのまま引き返す観光客も多いみたいですが、せっかくなら見ておきたい所です。吉田家住宅との共通入場券もあります。
脇町劇場(オデオン座)
入場料:大人200円、小中学生100円
開館時間:9時~17時
休館日:火曜日・年末年始
美馬市観光文化資料館
明治時代の税務署をモデルに再現した資料館。
総合観光案内所もあります。建物前の時代を感じさせる公衆電話ボックスが良いです。
開館時間:9時~17時
休館日:年末年始
船着き場公園
道の駅から町並みの通りに向かう途中にある公園。現在と違い吉野川の水域はここまでありました。
当時はここに船着き場があり、藍製品等をスロープを使って船に運んだり、集荷していたそうです。
国見家
この町並みで最古の建物。1707年に建てられとのこと。今は使われていないタバコの販売窓口の歪み具合がいい感じです。建物内の見学は不可。
第12世将棋名人 小野五平翁の生家・平田家
明治頃に活躍した棋士・小野五平の生家。宿屋でした。宿泊客の指す将棋を見て夢中にになり、将棋界の最高峰まで登りつめた人だそうです。将棋については詳しくないですが、小野五平は長寿だったため、それが棋界の改革の原因になったとか、wikipedia読んでみると面白いです。
建物は名人のイメージのせいか、無骨で強そうな印象を受けます。建物内の見学は不可。
田村家
この町並みで2番めに古い建物。間口がかなり広いです。奥行きも吉野川岸まであったそうなので、かなりの大豪邸であったようです。建物内の見学は不可。
森家
16世紀後半から続く家。醸造業、郵便局、医院と営んできたそうです。家屋自体は明治13年に建て替えられたもの。シンプルで虫籠窓と格子造りが調和しています。
随所に見られる木彫りと相まってセンス良さげです。建物内の見学は不可。
美馬市立脇町図書館
歴史的建物というよりは、景観を配慮して建てられた物のようですが、このやり過ぎ感というか、ゴテゴテしちゃってる感じ、嫌いじゃないです。時期によって企画展を催していることもあるそうです。
うだつまる石像
あまり顧みられることなく、通りの外れにひっそりと佇むゆるキャラ「うだつまる」。こういうの好きな人は相手をしてあげて下さい。
舞中島渡し跡
せっかくなら脇町の繁栄を水運で支えた吉野川も。町並みから少しだけ距離はありますが歩ける範囲です。明治初期から昭和36年まで対岸まで渡し船が行き来していたそうです。景色がいいので、近くのミニストップでソフトクリームでも買って休憩するのも良いかもしれません。
堤防からは潜水橋(沈下橋)が見え、地元の車がすごい勢いで走っていきます。
脇町のその他情報