きび六

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山奥に突如あらわれるベンガラの赤い町並み!日本遺産"ジャパンレッド"発祥の地【吹屋ふるさと村】 その2

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吹屋ふるさと村を散策する前回からの続きです。

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緩やかなカーブを描きながら、まだまだ通りは続いています。と言ってもまだ開始から350mぐらいしか歩いてませんが。

 

 

スープカレーの店 つくし(吉川家)

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硝子戸のむこうに積み上げられた赤と黄色の器からしてすでにおいしそうなスープカレーのお店。運営するのは定年退職後にUターン移住されたご夫婦で、テレビ番組「人生の楽園」で取材されたこともあるそうです。この日はすでに完売で営業を終了していました。

2019年6月1日放送 岡山・高梁市〜ベンガラの町の夫婦カレー〜|人生の楽園|テレビ朝日

 

江戸末期の建築で元は旅館。その後は理髪店だったそうです。

 

松栄館(麻田家)

かつては旅館と料理屋を営んでいた明治中期の建物。現在は軒先でだんごを焼いています。

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おみやげ あさだ

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立派な木の看板のお土産屋。この看板はもしかしたら、そこまで年季は入っていないかも。

 

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特産品の弁柄を使ったベンガラ染やベンガラ焼、ベンガラ和紙などを販売しています。ちなみに向かいでは同じくお土産屋の「麻田百貨店」やベンガラ染め体験ができる「ベンガラ工房」があります。

酸化鉄・赤 (ベンガラ) 10g

酸化鉄・赤 (ベンガラ) 10g

  • メディア: その他
 

  

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この辺りは、お土産や飲食店などのお店が並んでいて賑やかです。若干、密が気になり、そそくさと通り過ぎて振り返った所。

 

カフェふくろう(深見家)

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店の前にちょこん、とふくろうの置物が置かれたカフェ。シンプルですっきりとした印象です。この日は休業。かつては饅頭屋だったそうです。

 

国の保存地区に選定される前に建てられたそうで、雰囲気は周囲に合わせていますが、どこか昭和の日本家屋といった趣もあります。

 

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ここで北側に向かう道があり、丁字路になっています。この先には、20世紀初頭の木造校舎が建つ「旧吹屋小学校」(現在保存修理中で22年に再公開予定)や旧吹屋中学校の跡地に建てられた「ラ・フォーレ吹屋」があります。

 

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丁字路を少し行って振り返った所。

 

吹屋郵便局

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通りに戻ってすぐの所にある郵便局。明治7年開局、1993年に建築された3代目の局舎。古くはないですが、味のあるロゴの暖簾が良く似合う外観で、インスタ映えしそうです。

 

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かなり横に細長い。まだこの手前にも少し建物が続いています。

 

中山家

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明治・大正期は醤油屋だった中山家。ゴリゴリのなまこ壁が施され、2階は七宝模様。この黒と白の壁の色が逆に新鮮に感じてしまいます。

 

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振り返るとやっぱり町並みは赤いです。

 

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通りで時々見かけた映画「燃えよ剣」のポスター。この吹屋でもロケ撮影が行われたそうです。20年5月公開予定でしたが、延期になり近日公開予定との事。

 

長尾醤油酒店

地酒や名産品が買えるお土産屋さん。猫がいるかも。

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長尾醤油酒店 酒蔵

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長尾醤油酒店の向かいにある元酒蔵。「休憩所」とあるので行ってみたのですが、物置みたいになっていました。よく見たら「ヒルクライムチャレンジシリーズ」というイベントの休憩所という事のようです。

 

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現在は酒蔵の保存改修工事をしている模様。

 

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酒蔵から長尾醤油酒店方面の通りを見たところ。並んだ建物の屋根の向きが違います。吹屋は町の豪商たちが話し合って赤い町並みにしようと決めたそうなんですが、屋根の向きは決めなかったんですかね。この方がバランス的に美しいと思ったのか、もしくはせめてここで個性を出そうと競ったのか。

 

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通りに戻ると向こうからバスが。ガイドブックなどを見ると、赤い吹屋の町を走る赤いボンネットバスの写真がよく載っていますが、普通のバスが走る姿もなかなか良いです。

 

ちなみにボンネットバスがいつ走っているのか調べてみたのですが、運行している備北バスのサイトがインターネット黎明期を思い出させる迷宮感のあるデザインで、分かりづらい。現在は定期運行しておらず、貸切バスとして使われているだけのようです、多分。

http://www.bihokubus.com/

*ちなみに時刻表などの更新自体は定期的に行われている模様。多分。

 

喫茶かえで (長尾家(本長尾))

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江戸時代は鉄・油の問屋、酒造業も営んでいた長尾の総本家。1700年代末の建築で、幕末・明治・大正頃に増改築が加えられたもの。

 

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現在は「喫茶かえで」となっています。

 

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珈琲・抹茶・煎茶などのドリンクやケーキセットがあるようです。軽食もありますがこの時間はすでに売り切れとなっています。

 

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少し行って振り返った所。スタート地点から550mほどの所です。

 

旧片山家住宅(中胡屋)

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1866年頃に建築されたベンガラ製造で栄えた豪商の邸宅。国の重要文化財。一般公開されており、内部を見学することができます(向かいにある郷土館と共通で入館料大人500円)。

 

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今回は内部を見ていませんが、場所ごとにデザインを変えたなまこ壁など、外観だけでも豪商ぶりが十分伺えます。

 

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こちらは隣の無料駐車場の奥から見える邸内の様子。雑品庫の跡地のようですが、その奥に見える邸宅を取り囲んだどこまでも続きそうな塀を見るだけでも、敷地の広大さが良く分かります。

 

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主屋の他にも、敷地内には宝蔵・米蔵・弁柄蔵などが建っています。

 

いろり食堂

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町並みを外れて、旧片山家の塀に沿って南側に行くと現れる食堂。この日は休業でした。向かい側には、吹屋西側の無料駐車場「千枚駐車場」があります。

 

高草八幡神社

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さらに少し南の県道85号線の向こうには神社の鳥居が。参道の坂道がいい感じで、なかなか趣がありそうです。

 

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来た道を引き返し、通りに戻ってきました。通りの手前には車の乗り入れに関する注意書き。確かに人も多いしすれ違いも出来ないので、先ほどの県道を使った方が無難です。

 

べんがら屋

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明治初期の建築で、二階の丸窓が小粋。かつては米問屋でしたが、現在はお土産屋になっています。店の前に並んだ傘は、どこの観光地でも比較的よく見る濡れると模様が浮き出てくる傘かなと思っていましたが、あとから考えると、もしかしたらベンガラと関わりのある傘なのかもしれません。

 

藤森食堂

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この先、通りはクランク状に2度直角に折れ曲がる、いわゆる「桝形」になっていますが、最初の突き当りにあるのが藤森食堂。昭和56年創業でいい雰囲気を醸し出していますが、最近閉業してしまったようです。食堂の前は郵便局だったそう。

 

大河家

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食堂の前で曲がってすぐの突き当りにあるのは、元高級旅館の大河家。なんだか変な形の建物に見えますが、今見えているのは離れで、昔はその前に主屋が建っていたそうです。

 

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大河家の前で曲がると桝形は終了で、その先はまた真っ直ぐな道となっています。道も少し狭くなり、人通りも減って少し雰囲気が変わります。

 

カフェ燈(あかり)

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桝形の西側にある唯一のお店「カフェ燈」。奥行きのない細い建物です。中をのぞくとなかなか雰囲気が良さそうでした。

 

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メニューは珈琲や高梁紅茶、ケーキセットなど。そして、ランチも16時までやっています。ただし、席数はそんなに多くなく、この時は満席でした。

 

町家ステイ吹屋千枚

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その隣にあるのは、明治15年築の建物を改修して一棟貸の宿にした「町家ステイ吹屋千枚」。吹屋の住人の気分で数日過ごしてみるのも楽しそうです。

 

本山山神社

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そのすぐ向かい側にあるのが銅山の神様を祀る本山山神社。

 

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こちらが本殿。吹屋銅山(吉岡銅山)の経営が本格的に始まった1700年代中盤に勧請されましたが、現在は銅山の廃山と共に衰微して、ご神体は近くの高草八幡神社に移されたそうです。なので神社”跡”というのが正確かもしれません。

 

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境内の玉垣には三菱のスリーダイヤモンドが。明治になって銅山の経営権が三菱鉱業に移り、経営する岩崎弥太郎により寄進されたそう。

明治の巨人 岩崎弥太郎

明治の巨人 岩崎弥太郎

  • 作者:砂川 幸雄
  • 発売日: 2011/08/12
  • メディア: 単行本
 

 

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少し小高い神社からの眺めは絶景というほどではありませんが、並んだ町家の石州瓦の屋根が重なって見えて趣があります。微妙に色の違う瓦が並んでモザイク状となっており、醸し出されるポップ感。なまこ壁もそうですが、個人的にこういうの好きです。

*この神社部分だけ、以前訪れた時の写真

 

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神社から元の通りへ戻ってきました。通りの西の端まであとわずか。相変わらず良い雰囲気の町並みが続きますが、この先はお店などはなく、とても静かです。

 

最上稲荷

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終点の西の端には小さな神社。鳥居には「最上稲荷」と印された扁額が掲げられていました。日本三大稲荷ともいわれる岡山市にある「最上稲荷」の分社なのかもしれませんね。

 

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最初の地点からここまでの距離は約750m。単純に歩くだけだとわずか10分でたどり着いてしまいます。色々見ながらゆっくりと散策するには良い距離感。この吹屋に来るまでが大変ですが、一度は訪れたい異世界感のある赤い町です。

 

一つ注意点があるとすれば、食事難民になりがちな事。今回は日曜日の14:00過ぎに訪れましたが、食事できる場所は1か所だけでした。飲食店自体は何店かあるのですが、不定休だったり早めに閉まったりするお店が多く、あまりネットなどの情報を鵜呑みにし過ぎないほうが良さそうです。また、忙しいのか殺伐とした雰囲気を漂わすお店もあって、入りにくかったりします。

 

広兼邸

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一旦駐車場に戻り、車で10分程の場所にある八つ墓村のロケ地にもなった広兼邸に行ってみました。狭い山道を抜けると突然現れるお城のような巨大な邸宅に、うわっと思わず声が出てしまいます。

 

車が停まっている所が駐車場ですが、下の方の草に覆われている部分まで全部が石垣。威圧感が半端ないです。中も公開されていますが(有料)、閉館時間が迫っていたのでこの日は断念。豪商の家を見るのが好きなので、次回は是非見てみたい。

 

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ちなみに映画「八つ墓村」では、1977年版と1996年版の両方で、主要な舞台となる多治見家の屋敷として使用されました。

 

 

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