吉備中央町にある神社「吉川八幡宮」に行って来ました。すぐそばには吉備中央町出身の作庭家・重森三玲の「重森三玲記念館」もあります。
場所は吉備高原都市の中心・きびプラザから南に車で5分ほど行ったところ。岡山市街からは車で50分程の場所にあります。
吉川八幡宮は、1096年に石清水八幡宮の別宮として建立されたとされるなかなかの由緒を持った神社。当時、この地は石清水八幡宮の荘園だったそうです。あまり石清水八幡宮側が、その関係を言及してくれないのが悲しいですが。
参道
本殿は少し小高い所にあるため、短い石段が参道となっています。短い階段を登り切るまでに狛犬、鳥居、手水鉢、灯篭、随神門と、少しせわしない感じで配置されています。
神社入り口周辺にはやたらと石碑が多い印象です。
狛犬
黄葉を背景に映える狛犬。ただ境内の木々はほとんどが常緑樹で、紅葉が見事な神社というわけではありません。
もう一体の狛犬。神社前の道は狭めです。
手水鉢
手水鉢もなかなか歴史がありそう。
随神門
県の重要文化財となっている随神門。
神額の周りには質素ながら彫刻が施されています。
随神門から拝殿・本殿が斜め45度で見えるのがいい感じです。この角度にしたのは計算の上なんでしょうか。
境内側から見た随神門。
拝殿
門から斜めの参道を通り、拝殿へ。
横組みの柱と柱の間の部分を蟇股(かえるまた)と言うようですが、この部分の彫刻は龍でしょうか。
拝殿はなかなか雰囲気があります。そして賽銭箱の隣に違和感なく置かれたスチールデスクがなんか可笑しい。
どこからどこを見ても完全なる木造建築。ワビサビを感じます。
本殿
こちらが本殿。国の重要文化財です。
屋根のひさし部分のびっしり並んだ木材も見事。
蟇股の彫刻はアヤメでしょうか。その下にある菱格子の欄間もちゃんと木製です。
境内社
右隣にあるのは境内社。この神社はしめ縄だったり、こんな風に鳥居に竹を結び付けてあったりと、しっかりと管理が行き届いている印象です。近隣の方がやっているのでしょうか。境内もきれいに清掃されていて、心洗われるような気持ちの良い神社です。
仮屋
さらに右隣りには、丸い柵のようなものが二つ。まったく何なのか分からなかったのですが、あとで調べたところ、この神社で行われる「吉川八幡宮 当番祭(とうばんまつり)」と呼ばれる祭で使われる「仮屋」と呼ばれるものだそうです。
吉川八幡宮 当番祭
このお祭りは、県の無形重要民俗文化財に指定されています。約一か月かけて行われる大掛かりなもので、この説明書きを読んでもよく分かりませんが、最後は徒競走的な事も行われるという奇祭だそうです。
檜皮の森
仮屋のさらに右側には簡素な鳥居があって、その向こうは「檜皮(ひわだ)の森」。社寺建築の屋根によく使われる檜皮葺きの元となる檜(ひのき)が繁茂しています。秋ですが、鬱蒼とした緑。
南側鳥居
本殿側に戻って、さらに左側に行くと南側の鳥居に出て参拝終了。この鳥居の右側に見えるのはトイレで、その周辺が参拝者用の駐車場となっています。あまり広くありません
吉川八幡宮(よしかわはちまんぐう)
住所:加賀郡吉備中央町吉川3932
駐車場あり
天籟庵 説明板
鳥居の左側の石垣の前には「天籟庵」の説明板が設置されています。
重森三玲記念館
そのまま石垣沿いに歩いて行けば、すぐに重森三玲記念館にたどり着きます。
重森三玲パネル展示室(吉川公民館)
広い駐車場があって、その向こうに見えるのが公民館。車はこちらに停めたほうが良さそうです。
公民館内に重森三玲の作品を紹介したパネルや映像資料が見られる「重森三玲パネル展示室」があります。館内は撮影禁止。公民館で係の方に声をかけて入館します。
重森三玲は吉備中央町出身の昭和期の作庭家。京都の東福寺などを手掛けています。展示室内では日本各地で手掛けた庭園の紹介があり、なかなか個性的で面白い庭ばかりで、写真を見るだけでも楽しい。
個人的には大阪の岸和田城にある「八陣の庭」が気になりました。
ところでこの公民館の屋根近くの、この丸い球を中心とする飾りは何をイメージしてるんですかね。
本館
写真を撮るのを忘れてしまいましたが、公民館の右側に記念館の本館があります。氏の著作や庭園実測図、また自筆の書画などを見ることができます。館内はあまり広くはないので、じっくり見てもそんなに時間はかからないかと思います。館内撮影禁止。
重森三玲記念館庭園 三玲
その隣にあるのは小さな枯山水の日本庭園。こちらは重森三玲の孫、重森千靑(ちさを)による作品「三玲」。「玲」という文字をイメージして、庭石を配置しているそうです。
きれいに渦巻きが出来ています。毎日、手入れをしているんでしょうか。
注意したいのは先ほど説明板が出ていた「天籟庵」はこの庭園だと勘違いしがち、という事。これを見て安心して帰ってしまわないようにしたいところです。
天籟庵
本当の「天籟庵」は、その後ろの塀の向こうにあります。公民館の方に案内されての見学になるようです。撮影不可。
「天籟庵」は重森三玲の処女作で、自宅に会ったものを移転したとの事。今回は少し開いた扉の隙間から覗くだけでしたが、2色のコンクリートで出来た庭園はなかなか斬新で驚きました。
そしてここにもトラップがあるのですが、処女作「天籟庵」はこの庭に建てられている茶室の事。作庭家なのでてっきり庭園の事かと思って、コンクリートの庭なんてどうやって移転するんだろう、なんて頓珍漢な事を考えていました。でも庭園自体も、移転後に重森三玲により作庭されたということなので、ちょっと安心しました。
吉備中央町にはその他にも重森三玲作による庭園がいくつかあり、それぞれ見て回るのも楽しそうです。しかし、そのほとんどは一般公開されておらず、見せてもらうには事前連絡が必要。それに同じ町内と言えども広いので、結構な移動が必要となり、一気に見て回るにはなかなか手ごわそうです。
この記念館も無料なのであまり文句は言えませんが、いまいちどういうシステムで「天籟庵」が見られるのか良く分からなったり、案内が分かりづらかったりと、全体的に不明な事が多いので、確実に庭園鑑賞をしたいのであれば、事前に電話で確認をした方がよさそうです。
重森三玲記念館
住所:加賀郡吉備中央町吉川3930−8
開館時間:9:00-16:00(月~金)
開館時間:10:00-15:00(日・祝)
閉館日:土曜/年末年始
入館料:無料
駐車場あり