
岡山県にある湯原温泉郷は、露天風呂番付で西の横綱に格付けされた事をアピールしていますが、もう一つアピールしているものがあります。
もう一つアピールしているもの、それが「はんざき」です。「はんざき」とはオオサンショウウオのこと。湯原は「オオサンショウウオ生息地」として国の天然記念物に指定されており、また、はんざき研究発祥の地でもあります。

湯原温泉郷のマークデザインや温泉街のあちこちのはんざき看板で、はんざきをアピールしているのですが、スルーされがちというか、気づかないふりをされがちな「はんざき」の目玉施設「はんざきセンター」とその周辺を紹介したいと思います。
「はんざき」の語源
ちなみに「はんざき」の語源は下記の通り。
体が半分にさけても(はんざき)生きていると伝えられることから、この圏域ではそのような呼び名で表現されています。
とりあえず裂いてみよう、という発想が恐ろしいですね。これで俄然、興味が湧いてきたかと思います。なお、語源についてはその他にも諸説あります。
はんざきセンター(真庭市オオサンショウウオ保護センター)

湯原温泉郷の砂湯からは1.5キロほど離れた場所にあります。
駐車場
真庭市湯原振興局 湯原ふれあいセンター

真庭市湯原振興局・湯原ふれあいセンターと同じ場所にあるので、ここの駐車場に車を停めることができます。

ちなみに振興局もなかなか渋くて、見応えがあります。

歴史ある建物なのか、演出としてこのような外観なのかはちょっとわかりませんが。
外観

決して大きくはない建物です。

軒下にはカラフルな鯉のぼりならぬ「はんざき」のぼりが吊るされていました。この「はんざきのぼり」は商品化されて、販売もされているようです。
オオサンショウウオを土産の目玉に 真庭・湯原温泉、はんざきのぼり商品化 - 産経ニュース
センター内

入口から早速驚かせてくれます。

中央の廊下には「湯原とはんざき文化」がパネルで紹介されています。
第1展示室

まずはオオサンショウウオの紹介。日本・中国・アメリカに生息しているそうです。

本物もいます。

あまり動かず、漂っているといった印象。

このセンターで飼育されていた「リュウちゃん」の骨格標本。死亡時の全長は160センチあったそうで、その大きさに驚きます。
第2展示室

はんざきの生態についての説明がメインの第2展示室。真ん中に大きな円形水槽があります。

ここでもサンショウウオが漂っています。

見たところ、一匹しか見当たらず、こんな大きな水槽に一匹だけってショボいなって思いながら、とりあえず一周してみるとこんなのを発見しました。が、暗くてよくわからず、さらにその先に進むと・・・

!!!
巣穴から3匹ほど折り重なって顔を出しています。体中がゾワッとしました。と同時に一瞬でテンションが上がります。

しばらく観察していると、漂っていたはんざきがゆらゆらと合流してきたり、巣穴からのそのそと一匹が出てきて泳ぎだしたりと、いろいろな展開があって目が離せなくなりました。彼らの姿かたちにも慣れてきて、愛らしくさえ感じるようになります。

水槽の周辺でははんざきの様々な生態を展示・説明しています。写真ははんざきの産卵行動の様子を再現したジオラマ。巣穴に入ってきたメスと巣穴の主であるオス、おこぼれを狙うその他のオスたちがもつれるように回りながら産卵するそうです。確かにもつれ合っていてリアル。

こんな展示も。穴の中にはオオサンショウウオの手を模したものが見えているんですが、根性がなくて握手できませんでした。
はんざき学習室

第2展示室を出ると目の前に現れる液体標本。圧倒的な存在感。約150センチの大きさです。

写真がぼけてしまいましたが、説明書きがシュールです。マーちゃんは温泉街のお土産店「うえき本店」の看板娘として店内の池で飼われていたそうです。

ベンチが並び、壁面には映像が流れる学習スペース。湯原のはんざきを支えた人々や研究者の展示、はんざき研究の歩みについても紹介されています。
はんざきセンターのまとめ
ちょっと見ておくか程度の軽い気持ちで来ましたが、いつの間にか夢中になっていました。小さな建物なのでさっと見るだけなら数分で見終わってしまいますが、円形水槽ではんざきを観察したり、説明パネルをじっくりと読み込んでしまうと時間が経つのを忘れてしまいます。
パネルの説明で面白かったのは、どこの観光地にも現れる与謝野寛(鉄幹)・晶子夫妻が訪れた時のエピソード。
山椒魚三尺なるを湯のあるじ 抱きて示しぬ地の謎のごと 寛
水槽の山椒魚をば抱き上ぐる 裸體の人を山風の吹く 晶子
泊まった旅館で山椒魚を見せてもらった二人が残した短歌です。喜んでもらおうと半裸で大きな山椒魚を抱きかかえる地元の人を見て、二人がドン引きしている姿がありありと目に浮かびますね。
日曜日の昼間に訪れましたが、訪問中に他のお客さんが現れることもなく、係りの人の気配もなく、ずっと貸切状態で満喫できました。温泉を訪れた人にはぜひスルーをせずに立ち寄って欲しい場所です。
はんざきセンター(真庭市オオサンショウウオ保護センター)
住所:真庭市豊栄1530
開館時間:9:00~17:00
開館時間:9:00~19:00(6/1~10/31)
入場料:無料
駐車場:あり
鯢(はんざき)大明神

はんざきセンターのすぐ裏手には「はんざき大明神」があります。

小さな鳥居が見えてきます。

はんざき大明神の由緒が説明された看板。簡単に言うと、牛馬や人を飲み込む大はんざきを退治したら、死んだはんざきが祟るようになり、それを鎮めるために祠を建てた、ということのようです。

立て看板の足元。お地蔵さん的なものかな、とよく見てみると・・・。

!!!
大きなはんざきを背負う人間の像でした。はんざきを退治した三井彦四郎の像なのでしょうか。しかし、なんでこんなに何体も置いてあるのか、謎です。けどこのフィギュアがあったら、欲しいような気もします。

赤い「はんざき小橋」を渡ります。

いい感じに苔の生えた岩の上には、はんざきの置物とおみくじのようなものが。おみくじは、はんざきセンター内で購入できるみたいです。

想像していたよりこじんまりとした祠でした。

これまでにちらちらと写り込んでいましたが、木彫りの置物があちこちに置かれています。チェンソーアート(カービング)を大量に見かけるというのは、山奥あるあるですね。

このうさぎは無駄に躍動感があって、なんか好きです。
はんざき山車

はんざきセンターの北側では、はんざき山車が展示されています。毎年8月8日に行われる「はんざき祭り」で、この山車が引かれて湯原の温泉街を練り歩くそうです。
花子

山車には名前がついていて烏帽子をかぶったこちらは「花子」。こんなのが温泉街を練り歩くなんて、奇祭感が半端ないですね。
太郎

こちらは「太郎」。イボイボが無駄にリアルです。はんざき祭りは昨今のゆるキャラブームの一環的なイベントなのかと思っていましたが、はんざき大明神に由来する、それなりの歴史があるお祭りのようです。
ハンザキねぶた

山車の隣にある建物。

中を覗くとカラフルな巨大なねぶたが。全身を見ることができませんでしたが、10メートルほどの大きさだそうです。これが夜中に煌々と光りながら街中を練り歩く姿を見てみたくなってきました。「はんざき祭り」、要チェックです。しかし、はんざき山車では飽き足らず、こんなのまで作っちゃうなんて、地元の人たちノリノリだなと微笑ましい気分になりました。
