瀬戸内市牛窓町にある神社「牛窓神社(うしまどじんじゃ)」に行って来ました。
場所は牛窓町の東岸、牛窓海水浴場の北側にあります。牛窓の観光案内所「瀬戸内きらり館」から参道入り口まで徒歩15分、車で3分ほどの場所です。
牛窓海水浴場の南側にある駐車場に車を停めて、神社に向かいます。駐車場付近は港町らしい雰囲気が漂っており、猫たちが黄昏ていました。
ちなみにこの駐車場へは、海水浴場の北側から南下するルートがお勧めです。南側の海沿いを通ってもたどり着けますが、すれ違うのも厳しいほど道が狭いので大きな車だと大変です。
誰かの車の上に上がり込んで、しれっと日向ぼっこする猫。
神社は、牛窓海水浴場の向こうの小高い山の上にあります。砂浜を歩いて向かいます。
穏やかな瀬戸内海。気分がいいです。砂浜の岩にはアーティスティックなペイントが施されていました。
鳥居の前に到着。
ちなみにここを左に少し行ったところにも駐車場があります。こちらは結構広めです。
海水浴場の砂浜はこの先、山すその崖のようになっていきますが、この一帯の浜辺「宿井の浜」は牛窓新八景に選ばれています。確かにいい眺め。
万葉集には、柿本人麻呂がこの地で詠んだ歌が収められています。近くに句碑もありました。
牛窓の 波の潮さゐ 島響み
寄さえし君に 逢はずかもあらむ
鳥居の先の石段。見上げるとかなりの段数がありそうです。意を決して前に一歩踏み出します。
少し石段を上がって振り返ったところ。
しばらく行くと原生林ぽい地帯になりました。その中をまっすぐに続く石段が気持ちいいです。ただ日ごろの運動不足がたたって、かなり膝がガクガクになってきました。
休み休み上って、ようやく石段の終わりが見えてきました。
境内に到着したのかと思いきや、まだまだでした。まだなのか、と少しがっくりしてしまいましたが、原生林を抜けた先に広がる見晴らしの良い景色に少し気分が上がります。
ベンチもあり、海を眺めながら少し休憩です。
その隣にあるのは、板谷芳浄(いたやほうじょう)、北浦百楽(きたうらひゃくらく)の師弟句碑。
明易き瀬戸の沖ゆく舟の音 百楽
夏つばめ水軍あとの島の径 芳浄
案内の「牛窓神社 本宮 もう少しです」の言葉に勇気付けられて、さらに先に進みます。
ちなみに右の大きな石碑は、表参道石段改修を記念したもの。明治41年に行なわれそうで、こんな立派な石段を当時作れたという事はかなりこの町は潤っていたという事なんでしょうね。牛窓はかつては海上交通の要所として栄えていました。
この短い石段を登ってすぐにあるのが「亀山公園 望洋亭」。参道を少し離れて行ってみます。
こちらが望洋亭。少し小高いところにあり、着いた途端、あまりの景色の良さに感動してしまいました。
東西南北どの方面も遠くまで見渡せるのが気持ちいい。各方面に案内板があるので、目の前に見えるものが何なのか、よく分かって面白いです。こちらの方面は条件が良ければ淡路島まで見えるみたいです。
その近くにあったのは銅像の台座。銅像がないので、革命でもあって倒されたのかと思ってしまったのですが、戦時中に供出されたとのこと。元は牛窓銀行の頭取や町長を務めた香川真一の銅像がありました。
ちなみにこの周辺はツツジが植えられており、見ごろとなる4月中旬にはピンクの花と青い海のコントラストで絶景となるそうです。
参道に戻ります。原生林の中、しばらく平たんな道が続きます。
少し行くと脇道があり、海水浴場に出る遊歩道となっているようです。神社まではあと140m。
しばらく歩くとまた鳥居が見えてきました。さらに石段が続いていることが分かり、少し士気が下がります。
その手前にも脇道があり、これは別方面へ続く参道のようです。
言う事を聞かなくなってきた太ももに鞭打って階段を上ると、見えてきたのは随身門。
中を覗くと随身様が鎮座しています。ちょっと怖い。左右の随身は最近修復が行われたそうです。随身門を抜けて石段を上り切ると、ようやく境内到着です。
まずは手水者(てみづや)で手を清めます。普通は龍が多い水口ですが、ここは牛鬼。"牛"窓だからですかね。牛窓の地名は牛鬼が絡んだ伝説が由来だそうです。
そして狛犬。少し口を開けた阿形の狛犬は面白い顔をしています。
その左手には社務所があります。訪れたのは1月末でしたが、境内には雅な音楽が流れ、まだ初詣の雰囲気が漂っていました。おみくじもたくさん結ばれています。密を避けるためだと思いますが、神様は融通が利いてさすがです。
牛窓神社には代々鎮守の森を守る社猫が自然とやってきます。
— 牛窓神社ネギの呟き@日本のエーゲ海 (@ushimadoshrine) September 2, 2021
平成25年に子供の頃から一緒に育った先代の猫が旅立ち、平成26年にやってきたのがはなおとたびです。
神社の駐車場の段ボールの中からやってきました🐈⬛
たびは数年前から帰って来なくなり今ははなおが凡そ8年神社を守っています。 pic.twitter.com/1QwKgSYYRf
ちなみにこの神社には社猫の「はなお」がいるそうで期待していたのですが、この日は会うことが出来ませんでした。
境内には謎の穴。ここでお焚き上げをするんでしょうか。もしくは井戸の跡ですかね。
そして拝殿です。右側には絵馬がたくさんかけられていました。
賽銭を入れて、鈴を鳴らし参拝。
その先は畳敷きで上がれるようになっていますが、御神燈が灯り、写真なども所狭しと飾られてなんだか賑やかです。
拝殿の左を回り、本殿の方に行ってみます。
ちなみにこちら側には車道があり、その先に駐車場があります。この車道を通ってそのまま境内に乗り入れても大丈夫みたいです。
こちらからだと長い石段を上らずに済みますが、せっかくなら表側から参道を通って参拝したいですね。
こちらの玉垣?は1767年のもの。当時の牛窓の回船問屋の旦那衆の名前が並んでいるそうです。相当栄えていたんですね。
本殿前の狛犬はちょっと不気味。
そして本殿です。牛窓神社は平安時代に創建されたとされ、この本殿は江戸時代後期(1812年)に再建されたもの。市の重要文化財となっています。
さらに奥に行くと電信柱のような高い柱がそびえていました。これは避雷針だそうです。高い所にあるので確かに雷も落ちそうです。
ぐるっと回って東側に。境内にはいくつも式内社がありましたが、これは伊勢神宮遥拝所。伊勢神宮の方向を向いています。ついでにお参りすれば得した気分になります。
清々しい気持ちで帰路につきました。
ちなみに夜は石段の御神燈に明かりが灯っていい雰囲気。ただ日没後の参拝は大晦日以外はしないでほしい旨の注意書きがあったので、夜中の参拝は止めた方がいいと思います。
まとめ
思いのほか長い階段に若干苦しみましたが、運動不足気味の体に心地よい疲労を与えてくれる参拝となりました。緑が多くて空気も新鮮、そして景色もいいので歩いているだけでなんだか心が洗われるようでした。
地元の人たちなのか、結構参拝客が多かったのも印象的でした。毎日参拝すればかなり足腰が鍛えられそうです。体がキツくて休み休み行っている間に、たくさんの人に颯爽と抜き去られてしまいました。
駐車場を西側に行けば古い町並みもあるので、ついでに周辺を散策するのも楽しそうです。
牛窓神社
住所:瀬戸内市牛窓町牛窓2147
駐車場あり