倉敷市の美観地区にある「大原美術館 新児島館(仮称)」で、期間限定公開中のヤノベケンジのアート作品を見てきました。
場所は大原美術館前の橋を渡って小路をそのまま直進したところ。美術館からは徒歩1分、倉敷駅からなら徒歩15分の場所です。
「大原美術館 新児島館(仮称)」は、将来的には児島虎次郎作品などを展示する予定の施設ですが、現在はまだ準備中。その体制が整うまでの間、暫定的にヤノベケンジ作品を展示し、無料で公開しています。名称が「仮称」となっているのはそのため。
この暫定的な一般公開が22年11月30日(水)で終了するというので、駆け込みで行って来ました。
外観
駅からえびす通商店街を通り、そのまま歩き続けると見えてくる大きな洋館の建物が目当ての建物です。美観地区の古い建物が並ぶ一角にあります。
石造り風の立派な建物。1922年に第一合同銀行の支店として建てられました。設計は、大原美術館など大原家の建築に多く携わった薬師寺主計(やくしじ かずえ)が手がけています。ちなみに第一合同銀行の初代頭取は、大原家の大原孫三郎です。
建物は登録有形文化財に指定されています。よく見ると意匠も凝っていって見応えがあります。
入り口は建物中央正面ではなく、左に行ったところ。
よく見ると実は横に細長い建物。
バリアフリーなスロープが備えられたこの場所が入り口です。大々的にポスターが貼ってあったりするわけではなく、このシンプルな立て看板のみなので、知らないとなかなか気づかないかもしれません。
館内
「サンシスター(リバース)」 ヤノベケンジ
館内に入って右隣の大きなホールに向かいます。元は銀行ということがよく分かる大きなカウンター越しに、さっそく作品が目の前に現れました。作品名は「サンシスター(リバース)」。館内撮影可です。
昔のアニメのキャラクターのような可愛らしい表情。
ソフビ感のある手。
両手を前に差し出すようなポーズです。
よく見るとスカート部分には様々なレリーフがあったり、立体物がいて凝っています。
L字のカウンターの外側から回り込んで、作品の右側、後ろ部分もじっくり見られるようになっています。
立体的な髪型もカッコいい。ソフビ感のある肌とプラスチッキーな髪の対比も良いです。
まつ毛も長く、薄っすらと目も見えます。
スカートには小さなロボット的な人形も。
後ろ姿。
これは猫っぽいですが虎と龍ということでしょうか。
スカートの下はこんな感じ。実はこの「サン・シスター」は時が来ると覚醒し、立ち上がります。しかし、それは不定期なのでいつ動き出すかは不明。見られるかどうかは運次第です。
昨年10月1日より暫定開館中『大原美術館 新児島館(仮称)』はグランドオープンへ向けて2022年11月30日で一般公開を終了いたします。
— 大原美術館 (@OharaMuseum) 2022年11月17日
ご来館いただきましてありがとうございました。
ヤノベケンジ《サン・シスター(リバース)》も見納めとなります。公開期間もあと少し。
この機会にご来館ください。 pic.twitter.com/5fd3mr2YGg
動くとこんな感じになるそうですが、残念ながら今回は見られず。ちょっと粘ってはみたのですが。まだ気が充満していなかったようです。
長場雄(ながばゆう)
ホール入り口付近には何やら色々とディスプレイされています。
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これは特に説明もないようだったので作品というわけではないのかもしれませんが、2016年に東京の国立美術館で行われた「はじまり、美の饗宴展 すばらしき大原美術館コレクション」の際に、イラストレーターの長場雄(ながばゆう)が手掛けたミュージアムグッズのイラストのようです。
大原美術館収蔵の絵画をイラスト化したもので、これは岸田劉生の「童女舞姿」。
シンプルなのに、一瞬で分かってしまうからすごいです。
こちらは藤田嗣治の「舞踏会の前」。見比べてみると面白い。
そしてこちらが大原美術館の目玉作品で、日本にあるのが奇跡とも言われているエル・グレコの「受胎告知」。何となくとぼけた味わいのイラストになっていて良いです。
作品ばかりに目が行ってしまいますが、建物自体もじっくり鑑賞したくなるくらい素敵です。ステンドグラスも凝っていて、良い建築に良いアート。相乗効果で共に映えます。
「サン・シスター」の左側手前には何やら頑丈な扉が二つ。
「シップス・キャット(SHIP'S CAT) 赤漆船守縁起猫」 ヤノベケンジ
扉の向こうに見えるのは、ヤノベケンジの作品「シップス・キャット(SHIP'S CAT) 赤漆船守縁起猫」。ここは銀行時代の金庫跡でしょうか。
高貴さを感じさせる漆塗り。立ち姿が美しい猫です。しかし鉄格子越しの展示とは、なんだかルパンに狙われそうなシチュエーションですね。
顔もカッコいいです。
右側の扉から金庫内に入って、横から見ることも出来ます。
後頭部にはアマビエもいました。
まとめ
覚醒するサン・シスターを見ることが出来なかったのが心残りですが、楽しい時間を過ごせました。ちなみに外から窓越しに見えるサン・シスターもなかなか良いです。真夜中に誰もいない中、突如覚醒したりすることもあるんですかね。
まだ本格的なオーブンは出来ないが、その間も多くの人に見てもらいたいという大原美術館の心意気。リスペクトしかありません。倉敷美観地区が今あるのも大原家の力によるものが大きく、その社会貢献ぶりは調べれば調べるほど感嘆してしまいます。こんなお金持ちが増えるといいですね。
大原美術館 新児島館(仮称)
暫定開館期間:21/10/1(金)~22/11/30(水)
住所:倉敷市本町3-1
開館時間:10:00~16:00
入館料:無料 *暫定開館期間
駐車場なし