(その1の続きです。)
泊/甲生
138 石井章 / Vertrek「出航」
本島泊港のすぐ近くにあります。
塩飽(しわく)水軍の根拠地であった本島は優れた操船技術を持っていたので、江戸末期、勝海舟らを乗せて太平洋を往復した「咸臨丸」には、この島出身の乗組員が多く乗船していたそうです。その咸臨丸を模したのがこの作品。
いい感じにサビれています。
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139 川口豊・内藤香織 / シーボルトガーデン
海岸沿いから山の上の診療所へ向かう山道を登るとあります。レンタサイクルで海沿いの道を走っていると、そのまま気付かず通り過ぎてしまう可能性があるので注意が必要です。ふもとに駐輪場があり、そこから徒歩で向かいます。たいした距離ではないです。
江戸時代に日本にやって来たシーボルトは、瀬戸内海の美しさを書物に書き記しているそうです。そんなシーボルトが賛美した瀬戸内の植物でつくられた庭。
ただ季節的に花が咲いているわけではなく、ただの緑といった感じです。花が咲き乱れる季節に来るとまた違った景色になるのでしょうね。
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140 村尾かずこ / 漆喰・鏝絵かんばんプロジェクト
"鏝絵"ってなんて読むの?って思っていたんですが、あとで調べたら、
こて絵(こてえ、鏝絵)とは、日本で発展した漆喰を用いて作られるレリーフのことである。
だそうです。
ボッテリとした厚みがなんとも言えず良いです。特にこの坂田商店の鏝絵は周辺の雰囲気にマッチしていてお気に入りです。
マイペースマラソンって?とも思ったのですが、この島では制限時間のないマイペースで走れるマラソン大会を開催しているそうです。全然知りませんでした。
この作品は泊地区に点在していてそれぞれがどこにあるのかは、各場所にある作品番号と作品名の掲示に添えられたマップを見るとわかります。もらった地図には書いてないので若干見つけづらいです。
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141 眞壁陸二 / 咸臨の家
男木島に行った人ならきっとピンとくるこのデザイン。この家は咸臨丸の水夫だった方の生家だそうです。
建物の中に入ると同様のデザインの壁と外からの光。こんな低い場所からの光でも結構明るくなるもんなんですね。
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142 五十嵐靖晃 / そらあみ<島巡り>
春会期に沙弥島の会場で展示されたものから、さらにサイズがスケールアップしているそう。全然気づきませんでした。
角度によって鮮やかさが変化して相変わらず不思議な気分になります。その向こうに瀬戸大橋が見えるのも良いです。
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143 古郡弘 / 産屋から、殯屋から
この作品のみ甲生地区。
数え切れないほどの赤いてるてる坊主が並び、作品じゃなかったらあまり近づきたくない異様な空気を醸し出しています。ちなみに”殯屋”とは「もがりや」と読み、死者の葬儀の前に一時的に遺体を安置していくところだそうです。
通路を通って石室のような部屋に入ることが出来ます。狭いです。ここと外界で生と死を表現しているんでしょうか。
190 蓮沼昌宏 / 12島の物語回遊式アニメーション
この作品は会期ごとに場所を移して展示を行っています。春会期に沙弥島で鑑賞しました。
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笠島
144 ツェ・スーメイ / Moony Tunes
塩飽諸島の”しわく”は、「潮が湧く」という言葉に由来しているという説があります。この辺りは、島々の間を複雑に流れる潮がぶつかり合って、潮が湧いているようにみえるからだそうです。
そんな潮の満ち引きを引き起こす「月」と大阪城でも使われるなど馴染みの深い島の「石」をモチーフに表現したのがこの作品。奥に吊るされた石が、宇宙を漂っているようにも見えて壮大なイメージが湧いてきます。
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145 アレクサンドル・ポノマリョフ / 水の下の空
最も港から遠いのがこの作品。3艘の船がまるで宙に浮かんでいるかのように見えます。
そして船の向かう先に見えるのは瀬戸大橋。良いロケーションです。
146 齊藤正×続・塩飽大工衆 / 善根湯×版築プロジェクト
この建物、隣にお墓があるのでその関連施設かなって思っていたのですが、”サウナ”だそうです。ここからも瀬戸大橋がきれいに見えます。
塩飽は船乗りだけでなく、船大工たちも高度な技術を持っており、後には宮大工や家大工として活躍したそうです。現在は途絶えつつあるその技術を継承していこうとする活動の一環として、この建物は作られたもののようです。
地層のように重なる土の壁が美しい。脇に階段があるのを見過ごさないようにしたい所です。
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その他
205 猪熊弦一郎 / 丸亀猪熊弦一郎現代美術館
今回は行ってませんが丸亀にある猪熊弦一郎の美術館。なかなか楽しい美術館なので、行ったことのない方は是非。